中国の所得税率と計算方法は?仕組みをわかりやすく解説

Hikaru Osaka

「中国への赴任や移住が決まったけど、税金のことがさっぱり…」「給料からいくら引かれるんだろう?」そんな不安を抱えていませんか?

中国の所得税は、年末にかけて税額が上がっていく独特の計算方法や、外国人が使えるお得な減税制度など、日本のルールとは違う点がたくさんあります。この記事を読めば、複雑な中国の所得税の仕組みから確定申告まで、基本的な知識がすべてわかります。

記事の最後には、外貨の管理や送金、受け取りに役立つWise(ワイズ)についてもご紹介しているので、ぜひ確認してみてください。

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目次 🔖

中国の所得税制度の基本情報

中国の所得税ルールは2018年8月31日に改正法が成立し、2019年1月1日から施行されて、より公平でわかりやすい仕組みになりました。一言でいうと、「お給料などをまとめて計算する方法」と「それ以外の収入を個別に計算する方法」を組み合わせたハイブリッド型です。1

まず、どんなものに税金がかかるのか見てみましょう。中国では、主に以下の9つの収入が所得税の対象になります。1

  1. 工資・薪金所得(お給料やボーナスのこと)
  2. 労務報酬所得(アルバイトや副業の報酬)
  3. 稿酬所得(本を書いたりしたときの印税)
  4. 特許権使用費所得(特許などを使ったときにもらえるお金)
  5. 経営所得(自分でビジネスをして得た利益)
  6. 利息・股息・紅利所得(銀行の利息や株の配当)
  7. 財産租賃所得(アパートなどを貸して得た家賃収入)
  8. 財産転譲所得(不動産や株を売って得た利益)
  9. 偶然所得(宝くじの当選金など)

この中で、特に大切なのが1番から4番。これらは「総合所得」として1年分をまとめて計算し、稼げば稼ぐほど税率がアップする仕組み(累進課税)が使われます。また、あなたが「居住者」か「非居住者」かによって、税金を納める範囲が変わってきます。2

  • 居住者:中国に家がある、または家がなくても1年のうち183日以上滞在する人。この場合、中国国内だけでなく、世界中で得たすべての収入が課税対象になります。
  • 非居住者:居住者の条件に当てはまらない人。中国国内で稼いだお金だけが課税対象です。
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中国の所得税率

具体的にどれくらいの税率なのでしょうか?カテゴリー別に見ていきましょう。1

居住者

総合所得税率表(年間)

お給料や副業の収入などを合算した「総合所得」にかかる年間の税率表です。2

級数年収(年間応納税所得額)税率控除額(速算控除数)
136,000元まで3%0元
236,000元〜144,000元10%2,520元
3144,000元〜300,000元20%16,920元
4300,000元〜420,000元25%31,920元
5420,000元〜660,000元30%52,920元
6660,000元〜960,000元35%85,920元
7960,000元を超える部分45%181,920元

(2025年8月24日時点の情報を参照)

経営所得税率表(年間)

自分でビジネスをしている人向けの税率表はこちらです。3+4

級数年収(年間応納税所得額)税率控除額(速算控除数)
130,000元まで5%0元
230,000元〜90,000元10%1,500元
390,000元〜300,000元20%10,500元
4300,000元〜500,000元30%40,500元
5500,000元を超える部分35%65,500元

(2025年8月24日時点の情報を参照)

その他の所得税率

利息や配当、家賃収入、財産の売却益、宝くじの当選金などは、一律で「20%の税率」がかかります。

外国人居住者

外国から来たあなたも、1年の半分以上(183日以上) 中国にいれば、基本的には「居住者」と同じルールが適用されます。とはいえ、外国人には特別措置が存在します。

  • 6年ルール4:中国に永住するつもりがない場合、6年未満の滞在であれば、届け出をすれば中国国外で得た収入には課税されません。
  • 外国人向け手当の非課税6:家賃補助や子どもの学費、語学トレーニング費用などを会社から手当として支給されている場合、その部分は非課税になります。
  • 特定エリアでの優遇措置7:広東省や深圳などの「粤港澳大湾区」で働く優秀な人材は、税金の優遇を受けられる場合があります。

非居住者

中国の滞在が183日未満の「非居住者」は、年間の収入を合算せず、月ごと・所得の種類ごとに税金を計算します。給与や賃金は、月々の収入に対して以下の月次税率表が使われます。8+9

級数月収(月間応納税所得額)税率控除額(速算控除数)
13,000元まで3%0元
23,000元〜12,000元10%210元
312,000元〜25,000元20%1,410元
425,000元〜35,000元25%2,660元
535,000元〜55,000元30%4,410元
655,000元〜80,000元35%7,160元
780,000元を超える部分45%15,160元

(2025年8月24日時点の情報を参照)

ワーキングホリデー

「ワーキングホリデーで中国に滞在してみたい」と考える方もいるかもしれませんが、2025年8月現在、日本と中国本土との間でワーキングホリデー協定は結ばれていません。もし中国で働きながら暮らしたい場合は、就労ビザ(Zビザ)などを取得する必要があります。10

なお、中国の中でも香港は日本との間でワーキングホリデー制度を導入しています。ただし、香港は中国本土とは異なる税制度を持っているため、注意が必要です。

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中国の減税制度

中国にも、税金の負担を軽くしてくれる減税制度があります。きちんと理解して、手取り額を増やしましょう。

免税所得

そもそも税金がかからない収入があります。1

  • 国や国際機関からもらう科学や教育分野の賞金
  • 国債の利息
  • 国が定める補助金
  • 会社の福利厚生費や保険金
  • 軍人さんの退職金など

専項附加控除(生活を助けるための特別割引)

毎日の生活に関わる出費を、収入から差し引いてくれる(控除してくれる)制度です。12

控除項目割引額(月額)
3歳以下の育児費用2,000元/子
子どもの教育費2,000元/子
自分のスキルアップのための勉強代400元または年間3,600元
高額な医療費年間最大80,000元
住宅ローンの利息1,000元 最初のマイホームのみ
家賃800〜1,500元(住んでいる都市の規模で変わる)
親の介護費用3,000元・独身子女(一人っ子)の場合:3,000元。・非独生子女の場合:兄弟姉妹で3,000元を分担し、一人あたり最大1,500元まで。

(2025年8月24日時点の情報を参照)

寄付金控除

教育や貧困支援などのための寄付をした場合、税金の対象となる所得の30%までを上限に、寄付額を収入から差し引くことができます。1

中国の所得税の計算方法

ここが中国の所得税制度で最もユニークなポイントです。中国では「累積預扣預缴方式」という、毎月ちょっとずつ税金を前払いしていく「積み立て方式」が採用されています。12

基本的な計算式

納める税額 = [(収入合計 - 年間6万元の基礎控除 - 社会保険料など - 生活費の特別割引)× 税率 - 計算を楽にする控除額] - 今月までに払った税額

「積み立て方式」の詳しい計算ステップ

お給料をもらっている人の場合、毎月の税額はこんなステップで決まります。

  1. 1月から今月までの「税金の対象になる収入」を計算する:(1月からの収入合計)-(基礎控除5,000元 × 経過月数)-(1月からの社会保険料合計)-(1月からの特別割引合計)
  2. その合計額から「1月から今月までに納めるべき税金の総額」を計算する:ステップ1の金額 × 税率表の税率 - 速算控除数
  3. 今月納める税額を計算する:ステップ2の税金総額 - 先月までに納めた税金総額

具体的な計算例で見てみましょう。

例:居住者扱いの中国駐在員(既婚、子ども1人、両親を扶養)

  • 月収:16,000元
  • 社会保険料:月2,500元
  • 子女教育費:2,000元
  • 赡養老人費用:3,000元
  • 月合計:5,000元

【1月の計算】

1月の課税対象額 = 16,000 - 5,000 - 2,500 - 5,000 = 3,500元

適用税率は一番低い3%

1月に納めるべき税金 = 3,500元 × 3% - 0 = 105元

【2月の計算】

1〜2月の課税対象額 = (16,000×2) - (5,000×2) - (2,500×2) - (5,000×2) = 7,000元

まだ累計額が36,000元以下なので、税率は3%のまま

1〜2月の税金総額 = 7,000元 × 3% - 0 = 210元

2月の納税額 = 210元(総額) - 105元(1月分) = 105元

【11月の計算(トータルの稼ぎ額により税率が変わる月)】

1〜11月の累計課税対象額 = 3,500 × 11 = 38,500元

累計額が36,000元を超えたので、税率が10%にアップ

1〜11月の税金総額 = 38,500 × 10% - 2,520 = 1,330元

11月の納税額 = 1,330 - 1,050(10月までの累計) = 280元

このように、収入の累計額が増えるにつれて適用される税率が上がり、年末に近づくほど毎月の納税額も増えていくのが、この「積み立て方式」の大きな特徴です。

年間の収入による影響

積み立て方式の仕組みのため、年間の収入によって税金の負担感が変わってきます。特に高収入の人は、年の後半になると毎月のお給料から引かれる税金がグッと増えることを覚えておきましょう。

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中国のタックスリターン制度について

中国にも、日本と同じように1年間の税金を精算する「確定申告」があります。これは「匯算清繳(汇算清缴)」と呼ばれ、払いすぎた税金を取り戻したり、足りなかった分を納めたりするための大切な手続きです。

確定申告が必要なのはどんな人?14

  • 申告が「必要」なケース:税金を払いすぎていて、お金を返してほしい(還付)とき。年収が12万元以上あり、計算したら追加で納める税金が400元以上あるとき。
  • 申告が「不要」なケース:追加で納める税金があっても、年収が12万元以下の人。追加で納める税金が400元以下の人。毎月の前払いで、納税がピッタリ完了している人。

申告の期間と方法

申告の期間は、納税した年の翌年3月1日から6月30日までの4ヶ月間です。申告には、以下の方法があります。15

  • スマホアプリで自分で申告:中国では「個税APP」という公式アプリからの電子申告が一番カンタンでオススメです。
  • 会社におまかせ:勤め先が代わりに手続きをしてくれることもあります。
  • 専門家に依頼:税理士などのプロに依頼することもできます。

税金の還付と追加納税

  • 税金が戻ってくる(還付)場合:中国国内の銀行口座があればOK。審査が終われば、あなたの口座に直接お金が振り込まれます。
  • 追加で税金を納める(追徴)場合:インターネットバンキングや銀行窓口などで支払います。もし期限(6/30)までに支払わないと、年利18.25%という高い延滞税がかかるので注意が必要です。

罰則・リスク

中国では日本と異なり、確定申告を忘れたり間違えたりした場合のペナルティが、かなり厳しくなっています。具体的には以下の通り。

  1. 延滞税16:年率18.25%
  2. 加算税:本来納めるべきだった税金の50%から最大5倍の罰金
  3. 信用情報に記録17:税金のトラブルがあったことが記録として残ってしまう可能性あり

日本の感覚でいると大変なことになる可能性もあるため、適切な申告と納税を心がけましょう。

関連ページ 💡 中国不動産購入完全ガイド【日本人向け】規制・手続き・投資のポイントを解説

中国への移住や生活費をお得に節約できる:Wise(ワイズ)

中国への移住や生活費をお得に節約できる:Wise(ワイズ)

中国への移住や長期滞在は楽しみな部分も多いですが、引越し費用やビザの申請、家賃の支払いなど、日本から中国へお金を送る機会は意外と多いですよね。

しかし、日本の銀行から海外に送金すると、為替レートに隠れた手数料が上乗せされていたり、手続きが面倒だったりしませんか?

そんなあなたの悩みを解決するのが、「Wise(ワイズ)」です。Wiseは、お金の管理や送金などに関して、海外で生活する人のために役立つツールです。日本から中国への送金も、Wiseなら驚くほど簡単でお得にできます。Wiseは常にリアルタイムの為替レート(ミッドマーケットレート)を使うので、銀行のように為替レートに手数料を上乗せされる心配がありません。18~21

【Wiseアカウントの特徴】

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  • 最適な為替レート:上乗せコストのないリアルタイムの為替レートで取引を行うことが可能です。
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  • 瞬時の送金:Wiseでの半数以上の海外送金が20秒未満で完結します。
  • 簡潔な操作:パソコンやスマートフォンで完結。銀行に足を運ぶ必要はありません。
  • バーチャルカードも発行可能:Wiseアカウントでバーチャールカードを作成することで、ネットショッピングなどに利用できます(発行料も無料)。
  • 10種類の現地口座情報:アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、シンガポールを含む10ヶ国の現地口座情報が取得可能。これにより、滞在国内での送金もよりお得に。
  • 高額での預金ができる:日本円換算で合計100万まで複数通貨を保有、最大2,000万円まで引き上げが可能です(金額の引き上げについてはこちらのページを必ず確認してください)。
  • 高額送金も可能:一度に100万円超の送金ができ、最大1億5000万円まで送金可能です。
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Wiseを活用して、海外送金にかかるコストやお金を受け取るコストをどれだけ削減できるかぜひ試してみてください。

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まとめ

中国の所得税について、少しイメージが湧きましたか?要するに、中国の所得税は「毎月積み立て方式で前払いして、年に一度確定申告で精算する」という日本と異なる仕組みなのです。稼ぐほど税率が上がるのは日本と同じですが、年の後半にかけて月々の手取り額が変わってくる点は大きな特徴ですね。

そして、中国での生活をスタートさせるとき、避けては通れないのが国際送金や両替問題でしょう。そんなとき、Wise(ワイズ)のような海外利用に特化したサービスを使えば、銀行送金と比較すると、送金や両替にかかる手数料を大幅に節約できます。

中国の複雑な税金のルールをしっかり理解しつつ、Wiseの活用をぜひ検討してみてくださいね!

中国の所得税に関するよくある質問

中国の所得税で、年収が同じでも年末に手取りが減るのはなぜ?

それは「累積預扣預缴」という、年間を通じて税額を積み上げて計算する独特の方式が採用されているためです。年の初めは低い税率が適用されますが、累計収入が増えるにつれて段階的に高い税率が適用されるため、年後半になるほど月々の納税額が増える傾向にあります。

中国で働いていたら、必ず確定申告は必要?

いいえ、必ずしも全員が必要なわけではありません。具体的には、以下のような場合に申告が必要です。

  • 税金を払いすぎており、還付を受けたい場合
  • 年間の総合所得が12万元を超えており、追加で納める税金が400元以上ある場合

これらに当てはまらなければ、確定申告は不要です。詳しくは本文の「中国のタックスリターン制度について」をご確認ください。

外国人向けの家賃補助や子供の学費手当にも税金はかかる?

いいえ、現行の制度では非課税扱いです。外国人が受け取る住宅手当、語学研修費、子女教育費などは、特定の条件を満たせば所得税がかからない優遇措置があります。ただし、この措置は2027年12月31日までの期間限定なので注意が必要です。

中国の税金を納付する際にWiseは使えますか?

Wiseのアカウントから中国の税務当局へ直接税金を支払うことはできません。しかし、納税資金を日本から中国の銀行口座へ送金する際にWiseは非常に便利です。銀行よりも有利なミッドマーケットレートと格安の手数料で送金が可能なため、納税にかかる総コストを節約できます。

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ソース

  1. 中华人民共和国个人所得税法
  2. 附件 1 个人所得税税率表(综合所得适用)
  3. 个人所得税经营所得汇算清缴申报辅导
  4. 无住所个人所得税政策讲解
  5. 01. 什么是非居民个人? What is the non-resident? 根据《中华人民共和国个人所得税法》第一条相关内
  6. 关于外籍个人取得港澳地区住房等补贴征免个人所得税的通知
  7. 粤港澳大湾区政策专区
  8. 非居民个人所得税政策及税收协定运用
  9. 累计预扣法税率表及速算扣除数
  10. ワーキング・ホリデー制度|外務省
  11. 事关收入!2024年个税专项附加扣除已开始确认
  12. 国务院关于印发个人所得税专项附加扣除暂行办法的通知_税务_中国政府网
  13. 累计预扣法
  14. 2024年度个人所得税综合所得汇算清缴问答
  15. 国家税务总局关于办理2023年度个人所得税综合所得汇算清缴事项的公告_国务院部门文件
  16. 中华人民共和国税收征收管理法
  17. 关于加强个人所得税纳税信用建设的通知_国务院部门文件_中国政府网
  18. Wiseホームページ
  19. Wise手数料
  20. Wiseアカウントについて
  21. Wiseデビットカードについて

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2025年6月28日 9分で読めます

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